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2025年3月
2025年03月25日(火)
終業式・離任式
本日,終業式と離任式が行われました。
3学期終業式 式辞(水の如く自らの力で切り開く)
ここ最近の暖かい日が続く春の日差しと,北には自然と歴史のある霧島の美しい山々,花々が赤や黄色に咲き誇り,新緑の葉が光り輝くなど,一年でも素晴らしい季節となりました。
この時期は,学年の修了や卒業など,締めくくりの時期でもあり,進級・入学や入社の新たなスタート,別れと出会いの季節でもあります。
本校での出来事を話しますと,先月の28日,同窓会入会式で3年生は,社会で活躍されている1万1千人を超える同窓生の仲間に迎えられ,今月の3月3日月曜日には,2年生の皆さんや3年生保護者の皆さんと,霧島市副市長などの来賓・先生方が参加する中,ここ本校体育館にて,3年生の第77回卒業式を行うことができました。
先進技術開発・製造が行われているこの霧島市の地で育った産業人の卵である3年生は,学校行事でも皆さんをリードし,課題研究や進路発表でも自らが経験したことを惜しみなく伝えてくれました。
そんな3年生は,学習活動は元より,苦楽を共にした同級生や後輩諸君との楽しい日々を振り返りつつ,新たなステージに向け旅立って行きましたが,3年生を代表して内田さんが答辞の際に述べた「どんな時も支えあい,お互いを高めあえる仲間と共に,学校生活を送ることができて本当に幸せでした。」「皆さんが隼人工業高校の伝統を受け継ぎ,大きく発展させて,後輩たちに引き継いでいってくれることを願っています。」といった言葉が大変印象に残りました。
このことは,隼工の伝統を引き継ぐ残された1,2年生の皆さんと,我々職員に成長と発展への示唆となりました。
さて,皆さんはこの一年を振り返ってみて,どんな時間を過ごすことができましたか。
私は,年度当初,そして新年,乙巳(きのとみ)の年となった1月の始業式でも「チャレンジする年としてください」とお話しをしてきました。
そのことは,人として大きく成長して「生きる力を身に付けて欲しい」という願いからでした。
改めて皆さんに問いますが,1年前とするとどんなことができるようになりましたか。
学習や専門技術の向上は勿論のこと,学校での活動,家庭や自治会での取組など,個人の能力や,人を敬い協力し合うなどの社会性を向上させることができたでしょうか。
また一年間を通して「人の想い」「時間」「基礎」の3つ,見えないものを大切にするという「人としての在り方」を,自らの自己指導力を基に備えることができたでしょうか。
何事にも通ずることですが,向上する為の秘訣は,今まで努力している上に,更に 「+α(アルファ)の努力をする」ということです。その努力は皆さんを決して裏切ることはないでしょう。何らかの形で,必ず自分の力となって返ってきます。
しかし,もし,報いることのなかった努力があったとするならば,それは努力とは言わないでしょう。
話は少し変わりますが,今から約400年前の戦国時代,戦国の世を終わらせるべく豊臣秀吉の元で軍師として活躍し,後の筑前黒田52万石となった黒田長政の父,黒田考高(よしたか)通称 黒田官兵衛は,戦国の世を生き抜くにあたり,水五訓という言葉を残しています。
※(目を閉じて,耳で観てください)
それは,人の考えた常識ではなく,自然の摂理,水が上から下に流れるような「天地自然の理(ことわり)」を,自然界に住む我々もかくあるべきと人を導く教えです。その水の様子にある3つに,「常に自らの進路を求めて止まらないのは水である」また「障害に遭っても激しくその勢いを増して百倍にできるのも水である」「洋々として大海を充たし,発しては蒸気となり,雲となり,雨となり,雪と変じて,霰(あられ)と化し,凝(ぎょう)しては美しき鏡となりたるも,その本質は水である」と水の在り様を伝えています。
※(目を開けてください)
これは,人にあっても「自らが考えて道を切り拓くこと」「諦めることなくじっと耐えて努力すれば,大きな力になって返ってくること」「水は温度変化によって,また器の形によって自在に形が変えられますが,その本質は変わりません。人もまた,与えられた環境の中にあって,社会の変化に対応すべく常に柔軟に努力できる」ということを伝えているのです。
戦国の世とその様は異なりますが,近年でも,AI等を駆使した情報管理,情報操作によって,生活や仕事,戦争までも,戦国と同様にめざましく変わる激動の時を迎えています。
そこで皆さんも「自らの将来は,自らの力で切り開く。」と,心してください。
そのための人間力を常にチャレンジすることで身に付けていって欲しいと思いますし,一年後,再び3学期の終業式で「何ができるようになったか」と問われた時に,皆さんが学習や技術,料理や社会性など,生きていく為の数多くの人間力がついて,「できることが増えた」と,言えることを期待しています。
結びに,明日からの春休み期間において,未来ある皆さんが新学年で新たにチャレンジする目標を立てて,元気にまたここで始業式を迎えられることを願って,3学期終業式の式辞といたします。
離任式では,10名の職員が転出・退職されました。
生徒に寄り添い,温かく見守り,授業や生活の面で優しく,ときに厳しく指導していただき,誠にありがとうございました。
2025年03月03日(月)
第77回 卒業式
本日,本校から133名の生徒が巣立ちました。
皆さんのこれからの道のりが,明るく幸多きものとなるよう,願っています。
卒業式 校長式辞(抜粋)
皆さんはこれから、就職・進学とそれぞれの進路での新しい歩みが始まりますが、今日からは、自分の足でしっかりと大地を踏みしめて歩いて行かなければなりません。
しかし、時には迷いもあるでしょう。そんな時は、自分の心、学び舎の原点である、「隼工生」として、常に持ち続けて欲しいことがあります。
それは、昨年4月の年度当初に私が皆さんにお話しした『ものづくりを学ぶ工業高校に在って、「人の想い」「時間」「基礎」の三つを挙げ、「見えないモノこそ大切にできる隼工生」であって欲しい』と伝えたことです。
これは、まさに「人が人として、よりよく生きていく」ための、本質を説いたものであり、「隼工生」とは、「人の想いが込められた品物を大切にできる」ことは勿論のこと、「人の想い」「時間」「基礎」など「見えないモノを大切にできる」生徒である。という、隼工生が隼工生であるその所以、そのIdentity(独自性)を胸に刻んで生活して欲しいということです。
これは、皆さんが、AIに代表される変革の時にあるこの社会を、人として迷い無く、力強く生きて活躍すると同時に、幸多き人生となることを、私は心から願っているからです。
皆さん本当におめでとうございます。