1学期 終業式

公開日 2024年07月19日(Fri)

本日は1学期終業式が行われました。今回は熱中症対策のため体育館ではなく各教室での放送での実施でした。

20240719

生徒たちにとっては待ちに待った夏休みでしょう。ですがくれぐれも事故や怪我なく過ごしてほしいものです。

3年生にとっては就職試験や進学のための補習などで,心置きなく夏休みを満喫,とはいかないかもしれませんが,時間をうまく使って試験対策も思い出作りも全力で臨んでもらいたいです。

 

校長式辞

皆さん,おはようございます。

普段なら全員が体育館に集まって,1学期の終業式を行うところですが,気温の上昇による熱中症予防対策として,本日は,各教室にて終業式を行うこととしました。17日に梅雨も明けて今後益々,夏休み期間は,気温が上がりますので,部活動等においても熱中症への対応をしっかりと行うようにしてください。

さて,4月から始まった今学期も,振り返るとアッという間であったかと思いますが,皆さん,意義の有る,充実した日々を過ごすことができたでしょうか。

この間,社会ではウクライナとロシアの問題を始め,イスラエルとハマスの戦いにより民間人が犠牲となっている問題,円安ドル高や物価上昇による生活の苦などが在る中で,詐欺行為により被害を受けている人がいるなど問題は山積しています。

年度当初,皆さんにお話ししたことは,「これから行動を起こす前に情報収集が大切です。」と,お話ししました。社会において必要となることは,「自らが聴いて,判断して,行動すること」です。誤った情報,または一方からだけ,相手の利となる情報のみを鵜呑みにして行動すると,その後に災いが,自分や家族に返ってきます。判断の基となる情報をしっかりと聴くために,皆さんには「話は,目で聴いて,耳で観る。」ことを心がけてくださいとお話ししました。

この習慣を身につけるには,少し努力も必要ですが,習得した皆さんは,3月までの皆さんとは明らかに変化してきていることでしょう。毎日の努力が,皆さんの習慣を変え,未来を変えることに繋がることを忘れないでください。

そのことをベースにしながら,ものづくりの工業高校に在って,形有るものを大切にしてきてはいると思いますが,そこから更に隼人工業高校の皆さんには,3つの見えないものを大切にしてください。と,話をしました。3つの見えないものは何だったか,覚えていますか。

 一つ目は,基礎です。体育館の基礎部分を例に挙げ,建築物の基礎は,いつもは見えていませんが,地盤や基礎がしっかりしていないと,地震で傾いてしまいます。皆さんが今,学んでいることも基礎で,モノの考え方,捉え方となる大切な基礎となるのです。と,話をしました。

二つ目は,時間です。モノの貸し借りはできますが,時間の貸し借りはできません。15分遅刻したからと友だちから奪った時間を15分返すことはできないのです。時間は無限の様ですが,人の時間,自分の時間は有限です。自分の時間だけでなく,他人の時間も配慮するなど大切にしましょう。と,話をしました。

三つ目は,想いです。皆,「幸せでありたい」とする想いは同じで,親が子に幸せでいて欲しいと想う気持ちも同じです。また,工業のものづくりも,利用する人のことを想って作ります。他人が利用する人のことを想い作られた製品に対して,品物だけに目を向けず,その「想い」も大切にしてください。と,話をしました。

特に皆さんがこれから巣立つ人間社会において,最も重要となる,この3つ目の「想い」について,大切にするようにと,1学期は話をしてきました。

「食堂での元PTA会長」の話や,「立ち位置を替えて物事を考えられる配慮ができる人」の話,「制服は卒業生を含む皆の想いが詰まったユニフォームである」ということなどで,形に見えているものだけを大切にするのではなく,目に見えないものにこそ,「人としてどう生きるか。」という本質があり,そこに気づいて欲しいと思っているからです。

例えば,保護者が日々働いて仕事で得た給料も,物質的には硬貨,紙幣で,総じて銭や金ともいいますが,保護者の掛け替えのない時間と,汗水流した労力と,情熱の結晶で在るものに対して,敬いの気持ちを含めて多くの方は「お金」と言葉で表します。この様に,目には見えていない想いを大切にできる人物に育って欲しいという私たちの願いです。

少し話は変わりますが,皆さんは「当たり前」の反対の意味を持つ反意語は何か分かりますか。

私も以前,「やって当たり前」,「して当たり前」と,つい口にしがちでしたが,そこには「感謝の気持ちがない」ということを,他の方が話をされていて気づかされました。

人が自分たちのためにしてくれていることに「当たり前」だと言うことは一つもないのです。

例えそれが仕事であってもです。人は仕事であっても心を尽くして利用者に接しています。時には,利用者のことを考えて,勤務時間外であっても下準備をしたりと,時間と労力と情熱をもって接しているからです。

多くの人は,そのことを理解して対応をしようと心がけていますが,時に授業中などで机に突っ伏している生徒も見受けられました。先生方も他の人も,感情をもった生き物です。人の気持ちを察することができないで行動することは,社会では務まりません。

この本質に気づいた人は,普段接してくださる方々への感謝の気持ちと同時に,「人としてどう生きるか。」「次に自分がどうあるべきか」という次のステップへ,高みへと成長できるのではないでしょうか。

最後に,3年生にとっては,進路を決定するために,自分の考えを整理し,言葉を紡いで「人としてどう生きるか。」を表現するために大切な夏休み期間となります。この本質を理解して対応ができれば,未来は明るいものとなるでしょう。

1,2年生にとっても,直接的・間接的に支えてくださる方々への想いに対して,感謝を口にし,次への行動ができる期間としてください。

2学期には,皆さんが心身共に一回り成長し,明るい笑顔で登校してくれることを期待して,終業式の式辞といたします。